電子機器の性能が向上し、電子回路が高密度化するにつれ、発熱対策がより重要となっています。 適切な放熱性能をもった放熱器(ヒートシンク)を選択・設計するだけでなく、そのヒートシンクを 高密度に配置された電子回路基板(PCB)上に、できる限り少ない面積で固定することが エンジニアに求められています。 また、取り付け荷重は、振動や衝撃に耐え、サーマルシートの性能等を考慮した適切な荷重である必要があり、 PCB厚さや電子部品(IC)の高さに応じて設計する必要があります。
アルファのQuickSet(QTシリーズ)ヒートシンクは、これらの課題を克服するために設計されており、 電子基板上のわずかな面積で、確かな取り付けを可能としています。
PCB上に2つの穴(直径 1.8mm)を開け、アンカーピンをPCB裏側より挿入します。 アンカーピン末端径は 2.5mm の為、PCB表面側から抜けることがありません。
ヒートシンクは、アンカーピンと、ヒートシンクに取り付けられたねじりバネによって固定されます。 そのため、電子部品やその電子部品とPCBとの接点への、振動や衝撃が緩和されます。
ヒートシンクの位置と方向は、アンカーピンによって正確に決められる為、 作業者が間違った方向に取り付けることを防ぎます。
ねじりバネとヒートシンクは一体化されている為、バネのフックを押し、スライドするだけで取り付けできます。取り付け手順
PCBのレイアウトに応じ、穴位置等のカスタム対応が可能です(通常、金型費不要)。
規格名称 | バネ線径 (mm) | ねじりバネ1個当りの取り付け荷重 (kgf) | |
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![]() | S001YZ4J | 0.8 | 1.0 ~ 1.3 |
S001YZ4N | 0.9 | 1.4 ~ 1.9 | |
S001YZ4M | 1.0 | 1.9 ~ 2.7 |
ねじりバネとアンカーでヒートシンクを固定した際に熱源に掛かる荷重は、下の表より求めることが出来ます。
なお、アンカー寸法、熱源高さ、PCBの公差等もございますので、数値は参考値としてお考え下さい。
①. グラフの右に示す式から、グラフの横軸(T)の数値を求めます。
使用するアンカー、熱源高さ、ヒートシンクベース厚、及び PCB厚 の情報が必要です。
②. ①で求めた数値と、ご指定のねじりバネの性能直線の交点から、取り付け時の荷重(縦軸)を求めることが出来ます。
取り付け手順の逆の手順で取り外すことができます。
フェイズチェンジ材を使用している場合、一度使用したものは再利用できませんので、ヒートシンクおよびチップから 完全除去し、新しいフェイズチェンジ材を貼り直してください。
QTシリーズは、通常、金型費を必要とすることなく、穴位置や全高などのカスタマイズが可能です。 ベースとなるヒートシンクの品番と、カスタム内容を 営業部 までご連絡ください。